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会報「みどりの風」バックナンバー
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会報 「みどりの風」
会報「みどりの風」No.9
会報 みどりの風 発行
第9号より下記4項を掲載しました

急がば回れ!- 会員の皆さんへ -
日環工の未来を切り開く環境力
時代のキーワードから明日の緑化を読み解く
思い出の記 ”太陽の塔”吹付け工事(T)
トピックス

急がば回れ! - 会員の皆さんへ -
NPO法人日本環境土木工業会 理事長 高橋 房雄
 そこここに地球温暖化の影響が、忍び寄る影のように感じられる時がある。遥か遠い南極の氷棚が大きく割れているとか、シベリアの凍土が溶けているとか言う話も、聞いて久しい。そして、それほど遠いところの話ではなく、身近に季節の移ろいや極端な猛暑や冷夏を体験すると、まずその影響として考えることが、条件反射のようになってしまったようだ。

 地球温暖化が100年3℃上昇するという話も、今はほとんど常識化してしまい、珍しい知識ではないようだ。「100年後はもう自分がいないからいいや」「その頃は、その頃の科学が何とかするさ」と言う身勝手な話もあるが、100年3℃という数字を同じように身近なスケールでみてみると、愕然とするものがある。
 例えば、3℃の気温差を距離に置きかえると、自分の住んでいるところからおよそ300km真南付近になる。その距離を時間で割って行くと1日で約8m。1時間で《みどりの風》1ページの対角線を小さなカタツムリが這って行くことになる。カタツムリは、疲れたら休んだり方向転換するだろうけれど、温暖化のスピードは年中無休で一直線に攻めてくるから恐ろしい。

 このような変化を、私たちは過去に経験しているのだろうか?産業革命以来、蓄積されてしまった豊かさの代償の付けは厳しいものがある。環境に関する情報は、最近のBSEや鳥インフルエンザなどの暗いニュースと重なって、何となく破局的な雰囲気すら感じられるが、私たちの力は、どれほどの効果が発揮できるのだろうか。
 防ぐ手立ては、神が人間に与えてくれた、卓抜な学習能力にしかないと思うが如何なものだろう。それぞれの立場で、初心にかえって学習し、良い知恵を見つけることしかないと思う。

 幸いなことに私たちのNPO日環工は、この学習活動をシステムのように内包して活動してきた組織である。NPO日環工のメリットは、会員にとって学習の場であることが最も大きいと思う。総会時の公開講演会もあるが、地方での学習会ではより実践的なこともできる。

 勿論NPOによる学習会は、従来の業界主体の「結果として、これだけメリットがあります。」と言う内容ではない。しかし、一般市民の方と机を並べることもできるし、協力も得られる。そして学習の内容を市民の方々と共有することで、今まで見えなかった物が見えてくることが多いことに驚きをおぼえる。

 NPO日環工の会員は、法面や斜面の安全を図ること、それらの環境を緑化することを業としてきた方、今もしている方が多い。私たち会員が内側つまり仲間たちとの繋がりだけでなく、学習活動と通じて、広く市民の方と向き合い、真に求められているニーズを知ることは大きな意義がある。
 そして、その積み重ねが、必ず市民に期待される組織となり、提案や提言できるNPO団体になれると思うが如何なものだろう。先ずは、急がば回れ、街へ出て環境学習活動を始めようではないか。 

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日環工の未来を切り開く環境力
NPO法人 環境文明21 代表理事 加藤 三郎
 昨年の暮れにごま書房より『環境力』と題する本を出版した。なぜ書いたかと動機を述べれば次のようなことである。ここ10年ほど日本の社会はいろんな意味で行き詰まり、失業や犯罪が増え、環境が悪化し、なかんづく国や自治体の財政赤字は巨額になってきて先がみえにくくなっている。そういう中で、世の識者と言われる人たちからは盛んに「経済の再生」が叫ばれている。私はこの言葉を聴くたびに、再生ずべきは経済ではなく、むしろ社会であり、われわれの生活ではないか、という思いが募ってきた。それで経済にのみ焦点を当てた日本再生の処方箋は間違いであり、むしろ社会全体の持続性を追及する形に日本のシステム全体を変えるべきだという思いが強くなった。特に日本人の得意技であるはずの「環境」にもっと力を注ぎ、環境に強くなれば、曲がり角に来ている国も経済も個々の企業もそして何よりも私たちの生活が力強く回復の道に向かって歩み始める筈と私は考えたのである。
 私がそう思う理由は単に自分が長いこと環境の分野にいるからだけではない。この本を書くにあたって、改めて最近の企業の環境対策に注目した。新聞社や財団法人から最近様々な「環境賞」が企業の活動に対して出されているが、環境面で優秀であると認められた企業のリストを眺めると、そのほとんどすべてがいわゆる「元気印」の優良企業の名前がずらっと並んでいることに改めて注目した。さらに言えば、企業だけではなく今元気に躍動している自治体、例えば東京都、長野県、川崎市など、どこを見ても首長自らが、環境問題に並々ならぬ創意と施策を展開していることにも気がついた。
 ここで改めて環境力を説明すれば、個人であれ企業であれ、自治体であれ、国であれ、環境を維持又は改善しようとすることが単に環境だけでなく、その経済的な面もそして人間社会的な面もあわせて改善してしまい、全般的に持続可能性を高めてしまう力のことである。簡単に言えば、環境力を持てば、環境だけでなく、全般がよくなる、そういう力を環境力は秘めていることに気がついたのである。
 なぜ環境力をたくさんもっている企業や自治体は全般的なパフォーマンスでも元気がよいのか、それは面白い問題であるが、私の認識を一口で言えば、未来を味方にする力がある、ということである。もう少し言えば、環境の未来を直視する確かな先見性と知恵があり、それを経営戦略の中に組み込める戦略性と技術力を持っており、しかも社会の責任である主体として公平、公正といった人類不偏の倫理や感覚を十分に自覚していることがその中身をなし、またこのような知恵なり自覚なりを持っていけば方向性は誤まらず、またリーダーシップが発揮されてしまうということが言いたかったわけである。
 さて、当NPO法人日本環境土木工業会には、高橋房雄会長はじめ環境力を保持しておられる方が何人もおられる。だからこそ、今から十年以上も前に、会の名称の中に「環境」の二文字を挿入し、時代の潮流に逆らわずに、むしろそれをリードする形で(少なくと「土木」の分野では)今日まで見事に経緯してきた。これからは、本号の座談会に登場している若手経営者など、若い会員も含め皆「環境力」を身につけ、それに磨きをかける努力をしてほしい。そして公共事業の現場で、また社会的インフラの整備にあたって、大いに活躍してほしい。そのことを強く願っている。

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時代のキーワードから明日の緑化を読み解く
東京農業大学造園学科都市緑化技術研究所 教授 近藤 三雄
1.風は吹いている、つかめるか

 「美しいくにづくり」「観光立国」「景観緑三法」「自然再生」「都市再生」「屋上緑化」等の緑化絡みのさまざまな風が吹いている。これらの風が緑化関係企業にとって「心地良い風」となるか、何事も無かったように止んでしまうのか、それこそ風まかせである。
 いま、吹いている風の多くは政局絡みの気ままな風でもあるため、企業がつかみとるためには風を呼びこむためのそれなりの対応が必要となる。ただただ口を開けて待っていても以前のように風によってもたらされる慈雨(恵みの雨)は口には入ってこない。入ってこなければ企業は干からびて、いずれ枯れてしまう。ただし、他の多くの産業分野のように何の風も吹いていないという状況ではない。社会全体の景気が低迷している中、「緑の風」は先に述べたように、されなりにさまざまに吹いている。より厳しい現状におかれている他の分野、業種からすれば、風が吹いているだけ、まだましだという言い方もされる。あるいは緑の分野は今が旬、「おいしい」分野という見方までされている。その好例が屋上緑化である。屋上緑化ビジネスに異業種の企業が相次いで参入してくるのも「隣の芝生は青く見える」ということの何よりの証である。
 なお、この屋上緑化の風にしても関係企業がこぞって吹くための仕かけをした訳ではない。行政の支援策や振興策、あるいは、屋上緑化の必要性を説く論拠としてヒートアイランド現象の緩和になるということがまことしやかに語られ、屋上緑化が絶対的な社会的正義とされ、皮肉れば、「都市のヒートアイランド現象様」のお陰で風が吹いたのである。その風の動きをいち早く察知して飛びついたのが異業種の企業である。
 一方、未だに屋上緑化の本命企業である造園建設業の多くは、その風の流れをただただ傍観しているのが実態である。自ら風を起こすこともなく、風が吹いていても、さらにその風を強くする努力もせず、また乗りもしない企業が多いのも緑化関係業界の現実である。相変わらず「公共工事の請負」という旧態依然としたスタイルから脱却できないでいる。したがって、予算規模、工事量の減少に伴って、工事高も減り、会社の経営状況も自ずと悪化する。
 いずれにしても、関係企業においては、いずれ景気も良くなる、冬の後には必ず春が来るという「春待ち姿勢」は完全に捨て去れなければならない。
 今後、緑関係企業者にとっては、行政施策や社会的要求の結果をより発展させるため、「自前の風」を吹かす努力も必要となる。
 風をつかむためにも、先に挙げた時代のキーワードに対して緑化関係企業はどう取組むことが望ましいかについて私見を述べる。


2.緑化したのり面の景観美から第三者評価を

 「美しい国づくり」「観光立国」「景観緑三法」、こられの施策や事業が緑化業界に春をもたらす否かは全く不明である。ただし、予感されることとして、これらの施策や事業が大きく掲げられたことは、その具体的な展開の仕方はともかくとして、今後、緑化事業においても「美しい景観づくり」が今以上に強く求められるようになるということである。
 したがって、モルタルのり面等の緑化においても、何がしかの手法によって、とにかく緑化しさえすれば、その質のいかんにかかわらず、「景観は良くなった」と済ませてしまうような、これまでのような安易な対応では許されなくなる。緑化したことによって、する以前に比べて、いかに景観の向上が図られたかが客観的に評価される時代が到来したとも言える。
 つまり見た目の美しさが、これまで以上に緑化工事の重要な評価視点となる。見た目の美しさというと、とにかく自然志向の論者は、表面的な問題と軽視する旨もあるが決してそうではない。見た目の美しさが全ての良さを語るのである。「日本の自然は美しい」という言葉もあるように、人のつくったものでも、自然のものでも、良いものは見た目も美しいのである。
 市民モニターを募り、自社の工法による緑化工事の出来上り景観(写真)を評価させ、その内の評判の高いものを自社の「緑化商品」として売っていくような姿勢があっても良い。市民に判断させれば「美しさ」が自ずと最も重要な評価ポイントとなる。


3.のり面緑化から「緑化のり面」へ

 今、まさに屋上緑化がブームである。東京都の関連条例の改正に伴う屋上緑化の義務化がブームの大きな火付け役を果たした。
 今、屋上緑化のブームの陰で実態として何が起こっているか。義務化というムチで尻を叩かれた事業者側は、とりあえず屋上面積の20%を緑化しなければならないということをクリアするために、最も安い単価の工法を採用し、緑化するという自衛策をとっている。一方、緑化工法を開発する関係企業間で熾烈な単価競争が繰り広げられている。その結果、施工された緑化空間では一部、「安かろう、悪かろう」という惨状を呈している。屋上緑化の次のブームとして予想される壁面緑化もこの二の舞となる可能性が大である。このような事態がつづくとヒートアイランド現象の緩和という大儀で進められている現状の屋上緑化、壁面緑化の意義そのものが社会から否定されかねない。
 筆者は最近、このような事態を回避するため、出来上がった建築物に対して、後付で、無理矢理緑化させられるのではなく、緑化と建築物を対等なものとして扱う「緑化建築」という概念を提起している。緑化建築の定義は「明確な計画意図や機能目的をもって屋上、壁面、室内、外溝等の空間が緑化され、緑が添えものではなく、それなりの存在意義を示している建築物」とした。
 のり面関係者にとっても、今、屋上緑化で起きている事態は対岸の火事ではない。今まで、のり面緑化、モルタルのり面緑化という名で行われてきた事業が、モルタルのり面のボロ隠し、あくまでも緑は添え物程度の位置付けで行われてきたケースが圧倒的に多かったはずである。今後は、のり面緑化、モルタルのり面緑化ではなく、緑が自己主張できる、「緑化のり面」「緑化モルタルのり面」という位置付けでの事業展開が強く望まれる。単価競争を避け、よりグレードの高い緑のり面につくるという気概が重要となる。


4.のり面再生

 「自然再生」「都市再生」が時代のキーワードである。ここで使われる再生の字義は「より良い状態につくりかえる」ということである。
 長年の人間活動によって自然も痛めつけられ、その人間によってつくられた都市も時間の経過とともに景観や機能も劣化し、再生が求められるような状況になった。
 都市再生という言葉にこめられた思いとしては、これまで行われてきた建築物群の建て替えだけの再開発ではなく、人間の生活空間として、より快適な状態につくりかえて欲しいということであろう。そのためには花や緑が主役の都市空間を、どうつくっていくかということが課題となる。
 再生が求められるのは、のり面も同様である。過去に緑化が施されたのり面も時間の経過とともに、当初、目論んだような緑の機能や景観が達成されていない箇所、あるいは時間の経過とともに劣化した箇所も少なくない。
 全国レベルで、これまで既にのり面緑化事業が行われた空間の現状をつぶさに点検評価し、現状の植物の生育状態や景観について問題があり、当初、想定された機能が発揮されていない箇所については、再緑化の必要性を所管官庁に訴えるような運動展開が行われることを期待したい。今、まさに、のり面緑化再生の時代でもある。


5.のりめん緑化の経済的価値評価を

 かって、林野庁は森林の果たす土砂流出防止や水源の涵養などの公的機関を代替法で試算し、年間約70兆円、農水省は日本全国の田畑の有する公益的機能を年間7兆円という数値をあじきだした。森林は木材を生産するという直接的な経済効果だけでなく、存在することだけで年間70兆円の効果を発揮する。このことは、現存する森林を保全する価値、意義がいかに高いかを説明する格好の論拠となる。
 さらに今、都市内の公園や各種緑化の存在することによる経済的価値効果を実証する研究も盛んに行われている。緑化すること、緑地の存在することによる正当性を訴えるためにも、この種の解明が必要となる。
 屋上緑化についてもヒートアイランド現象の緩和という漠然とした、ある意味では気宇壮大な効果論で、その必要性を主張するよりも屋上を緑化することによって、どれだけの経済効果をもたらすか、例えばマンションなどでは、どれだけ分譲価値のアップにつながるかを実証することの方がその意義を訴えるために、はるかに解り易い。
 のり面緑化についても、その侵食防止効果、あるいはモルタルのり面では景観改善、あるいは熱や光の照り返し防止効果なども実証されている。それらの効果が結果としてどの程度経済的価値をもたらすかが算出されれば、のり面緑化の意義や正当性を解り易く世論や社会に訴える格好の説明材料になる。本会も関係者と共同して、この種のデータづくりに積極的に取り組むべき時代でもある。

 見方によっては、時代は緑化の業界にとって追い風である。英知を出して、その風をつかみとろう。待ちから攻めの姿勢を

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思い出の記 ”太陽の塔”吹付け工事(T)
グリーンポケット協会 会長 高橋 富男
 昭和45年に開催された大阪万博のお祭り広場の中央に両腕を広げ、大屋根から首を出し燦然と輝いていた”太陽の塔”のシェル構造及び表面下地のショットクリート部門に参加して34年の歳月が流れた。
 当時、ショットクリートはアメリカ、ドイツ、ソ連等においてシェル構造、折版構造等の新しい形式の構造物に利用されていたが、わが国では道路の法面やトンネル等の施工の外、構造物の補修に応用されるに止まり”太陽の塔”のような新しい構造体に応用する工学的データや文献は少なかった。
イメージ 従って、”太陽の塔”のシェル構造をショットクリートで施工するに先立ち、ショットクリートの諸性質の資料を得るための実験が、昭和43年7月〜8月に当時の社名揖斐電化成樺ゥ霞作業所において、竹中工務店技術研究所嵩英雄氏ご指導のもとに実施された。まず予備実験としてモルタル(配合比1:4)、豆砂利コンクリート(配合比1:2.5:1.5)の配合のショットクリートの諸性質について試験が実施され、同一の通常の打ち込み方法によりモルタル及び豆砂利コンクリートと比較すると共に、供試体の成型方法の検討が行われた。
 次に呼び実験の結果を参考として、豆砂利コンクリート(配合比1:4:1)のショットクリート圧縮強度、鉄筋の付着強度、乾燥収縮及び施工性等の本実験が行われた。
 実験の結果、ショットクリートは低水セメント比、低スランプの材料が十分締め固められると共に、材料のはね返りによる骨材の損失のため富配合となり、圧縮強度及び付着強度は、普通コンクリートを上回り、乾燥収縮は、普通コンクリートと同程度かやや大きくなった。そして、粗骨材として豆砂利を混入したショットクリートは、細骨材のみのものと比較して、材料のはね返りは多くなったが、圧縮強度と付着強度は大となり、乾燥収縮は小となった外、施工性については特に施工のはじめにはね返りが著しく、サンドポケットは構造物の隅の部分に多く、また下向き施工の場合に著しく、強度が極めて弱くなることが考察された。
 以上のショットクリートの諸性質のうち、乾燥収縮は7.8〜9.0×10^-4と大きく、乾燥収縮亀裂の発生が懸念されたので、設計者の要請によりショットクリートの乾燥収縮低減方法の検討が行われた。そして、”太陽の塔”のショットクリートの配合実験として、膨張材CSA及び収縮低減材ジプトンについてショットクリートの配合比、セメントの種類を変えて強度と乾燥収縮に及ぼす影響の実験が行われた。
 設計者より示された”太陽の塔”のショットクリートの配合条件は次の通りであった。

  @施工方式 湿式ショットクリート
  A圧縮強度 28日強度400kg/cu以上※
   (※設計上の所要強度280kg/cuに対し施工上の品質変動を考慮して定められた。)
  B乾燥収縮 7×10^-4以下
  C骨材の最大寸法 10mm
  D標準配合比 1:4:1
  E水セメント比 45%

 実験の要因と水準は、セメントが普通ポルトランドセメントとフライアッシュセメントA種の2水準、収縮低減材が無混入とCSA(内割り12.5%)とジプトン(内割り5%)の3水準、セメント骨材比がC/A=1:5とC/A=1:4の2水準とし、三元配置法により12種類の配合について組合せられた。
 実験は昭和44年4月に前記の揖斐電化成樺ゥ霞作業所において、東京大学生産技術研究所川俣重也助教授、お祭り広場共同企業体作業所建築係織田謙一氏、及び揖斐電化成鰹ャ川利雄氏立会いの下、嵩英雄氏の指導で揖斐式モルタル吹付け機を用い、東京営業所の職員によって実施された。
 強度、乾燥収縮試験用供試体及び抱束亀裂試験体が製作され、竹中技術研究所に輸送され、それぞれ試験された。その結果、圧縮強度は材令7日で250〜350kg/cu、材令28日では330〜480kg/cuの範囲にあり、最も強度の低いCSAにおいてもかなりの強度が大きく、材令7日で250〜320kg/cu、材令28日では330〜400kg/cuと通常のコンクリートより極めて高強度であった。
 静弾性係数は材令28日で2.33〜2.65×10^5kg/cuの範囲にあり、通常のコンクリートと同程度であり圧縮強度との相関性が大きく、静弾性係数と圧縮強度の比は、通常のコンクリートよりやや低かった。
 これはショットクリートの空隙率が普通コンクリートと比較して大きいこと、及びコンクリートの静弾性係数は空隙率の増加に比例して減少することによるものと考えられた。
 乾燥収縮はセメントの種類及び配合比に関係なく、収縮低減材の混和の有無によって傾向が異なり、2つのグループに分けられた。
 プレーンの収縮率は材令4Wで6.3〜7.1×10^-4、材令17Wでは9.6〜10.5×10^-4に達し、極めて大きい値を示した。
 収縮低減材混和の収縮率は材令4Wで4.5〜5.6×10^-4の範囲であり、材令17Wでは更に2つのグループに分かれ、CSA混入のものは6.9〜8.1×10^-4で最も小さくジプトン混入のものは8.1〜8.7×10^-4の範囲にありやや大きい値を示した。
 ショットクリートの乾燥収縮は、収縮低減材を用いない場合は通常のコンクリートよりはるかに大きいが、これはショットクリートの配合が硬練りで低水セメント比であるが骨材寸法が小さく、細骨材率が極めて高く吹付けの際の骨材のリバウンドロスにより更に富配合になること、並びに空隙率が大きいことによると考えられた。しかし、収縮低減材を用いた場合には通常の軟練りコンクリートと同程度にまで低減することができた。
 抱束状態で乾燥収縮亀裂を観測する為の抱束亀裂試験体はφ13mmの鉄筋を用いて水平方向のショットクリートで一層に吹付けられ、施工後の表面は1時間後に組織を乱さないように削って平面とし、シードで覆って2日間現場養生した後、竹中技術研究所に輸送され直ちに脱型が行われたが、通常のコンクリートとり型わくと試験体の付着が強く、試験体の殆どが破壊したため、それ以降の試験は出来なかったようである。
 結論的にショットクリートの性質及び”太陽の塔”のショットクリートの配合に関し、ショットクリートの強度は通常のコンクリートと比較して高強度で特に初期強度が高い。そして、弾性係数は通常のコンクリートと同程度であるが、同じ強度のコンクリートと比較すると弾性が小さい。また、ショットクリートの乾燥収縮は極めて大きく、プレーンでは10×10^-4程度であり、通常の軟練りコンクリートよりはるかに収縮が大きい。
 セメントの種類としてフライアッシュセメントは収縮低減の効果はなく、強度が約10%低下するため、ショットクリート用のセメントとしては普通ポルトランドセメントが適当で、収縮低減材の効果は非常に大きく、プレーンと比較するとCSAで24%低下することを考慮してもCSAが有効であると考察された。
 配合比は乾燥収縮に直接影響しないが、強度は配合比1:4が10%高く、施工性は配合比1:5が優れていた。
 従って、”太陽の塔”に用いるショットクリートの配合は、普通ポルトランドセメントに膨張材CSAの使用及び配合比1:5を推奨すると終約された。なお、この場合の圧縮強度の推定値はFc28=390±28(kg/cu)、乾燥収縮の推定値は7.7±1.03(×10^-4)であり、通常の軟練コンクリートと同程度に収縮を減らすことができたが、CSAの混入率についてセメントの12.5%はやや過大であったと考察された。
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開催終了後パビリオン解体工事を背にした、筆者高橋富男氏
(参考文献・引用文献)
 ・ショットクリートの性質に関する実験
 ・万博太陽の塔のショットクリート調合実験に関する報告書

                                   (竹中工務店技術研究所)

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トピックス
 会計検査院技術参事官を歴任されました安藝忠夫氏が、当工業会の顧問として4月1日より正式に着任されました。安藝顧問は、毎週月曜日と火曜日には本部事務所に出勤されますので、お近くにお見えの際には是非お立ち寄り下さい。
 又、4月7日には会計検査院の各部署に、高橋理事長、中江事務局長と就任の挨拶に同行いたしました。
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