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会報 「みどりの風」
みどりの風 No.7
会報 みどりの風 発行
第7号より下記3項を掲載しました

ベジタブルな風景
京都議定書の発効で元気がでる緑化事業
開発行為と人間性・考

ベジタブルな風景
NPO法人日本環境土木工業会 理事長 高橋 房雄
 先日、当工業会顧問の加藤三郎先生(NPO法人環境文明21代表)とお話をする機会を得た。加藤先生は、突然、「今年の緑は、濃くありませんか?」と言われて咄嗟に「私もここ数年、緑を濃く感じております」とお答えした。
 ここ数年、特に今年、なんとなく風景がベジタブルだなと感じてはいたが、言葉にするほどの繊細さも自覚もなかった。ただ何となく感じていただけなので、先生の突然のお言葉に不意をつかれた覚えがした。少なくとも風景や植生は、先生より専門家のつもりでいたので、お株を奪われたな、という印象であった。そして「なんとなくベジタブル」という言葉の条件反射のように「灯火のまさに消えなんとするや、まず大なりと」という古い言葉が思い浮かび、私は少し不安になった。これが単なる赤と緑の補色関係による連想であり、杞憂に過ぎない変化であれば良いのであるが。

 現状では、ますます増えつづけるであろう CO2、100年で3℃から6℃も上昇する地球温暖化は、確実に高い方の予測値になるという予感がする。そして「不況だ」「テロだ」という刺激的なニュースに比べると、私は、その100年という未来形に自分の生活圏外のような距離感をもってしまう。しかし、この現象は既に海面の上昇や、異常気象などの変化が見られ、停滞も逆行も無い進み方である。それならばこそ私たちは、自分の職業の専門性をつうじて、冷静さを保持しつつ、遺伝子の記憶にもないような、未知なる変化に備えなければならないと思うが、それぞれが孤立していては不可能なことではないだろうか。そうした意味では、まだ半年にもならないのに、本法人に個人会員が百名近く参加して、既に支部設立の動きがあるということは、すばらしいことと思っている。

 旧日本環境土木工業会は、法面災害を防ぐ工事専門業者の法人による任意団体ではあるが、20年近く研修事業を中心に活動を続けてきた。その活動の中で、新しい環境工法の開発も模索してきた。そうした努力の成果としてプラスチック型枠材料(ハンチフレーム)のリサイクル化を実現し、その他、幾つかの工法を世に送り出すことができた。しかし、採用は経済比較という制約もあり、なかなか普及しない状態が続いている。そして本年6月NPO法人認可を受け、この活動も研修事業とともに継続することとなった。

 今、私たちは、それぞれの郷土を見つめなおし、郷土の生態系はじめ環境についての学習、情報交換を密にし、地球温暖化による様々な変化を視野に入れて、自然の回復、景観の改善や災害防止のための新工法などの提案をしていきたいと考えている。
 従来は、会員の中だけで行っていた工法の募集であったが、今後は、広く一般の方々からも募集していくことになった。そして、応募された工法は、本誌とホームページ上で披露紹介していく予定でいる。勿論、法面以外の工法やアイデアも歓迎したい。願わくは、繊細さと大胆さを兼ね備えた環境の新世紀に相応しい、アイデアや工法の出現を期待しています。

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京都議定書の発効で元気がでる緑化事業
NPO法人環境文明21 代表理事 加藤 三郎
1.ヨハネスブルクサミットと京都議定書

 今年の夏、南アフリカのヨハネスブルクで環境開発に関する世界首脳会議が開かれた。このサミットに関連し、私にとって嬉しかったことは、京都議定書の発効に目途がついたことである。
 地球温暖化対策の第一弾として、ちょうど5年前、京都において、炭酸ガスなどの温室効果ガスを削除するための議定書、つまり京都議定書が合意されたが、これが実施されるためには、各国の批准を必要とする。しかし、この批准がなかなか進まなかったのである。それでも、今年のサミットを前にして、かつ地球温暖化の深刻な脅威を前にして、京都議定書をどうしても発効させなければならないという気運が高まって、日本を含み各国がばたばたと批准した。
 アメリカのブッシュ大統領がそっぽを向いたなかにあって、この議定書を救うためにはどうしてもロシアの参加が不可欠。そのロシアももたもたしていたが、ヨハネスブルクに来たロシアの首相は京都議定書を近く批准することを明言した。それで京都議定書が来年の半ば頃には発効する見通しがついた。発効するとどうなるのか。日本について言えば、炭酸ガスなど温室効果ガスを90年レベルと比較して6%削減することが法的義務となる。現状においては、削減どころか8%程度上回っており、14%程度の削減を今後10年ほどでしなければならない。これは並たいていのことではない。

2.地球温暖化の恐怖

 地球の温暖化そのものは、人間の事情など無視し、あざ笑うが如くに進行しつつある。このままでは地球の温暖化は20世紀中に起こったスピードの5〜6倍のスピードで上昇し、世紀末には3度前後、悪くすると6度近くも上昇するとの警告が出ている。この警告は最近の気候変動の過剰さなどを考えると、もはや現実の問題となりつつある。今年の夏、日本でも非常に暑かったし台風の現れ方、台風のコースなどをみても気候がおかしくなっていることを多くの人に実感させている。異常気象現象と思われるものが観測されているのは日本だけではない。中国やそのお隣ベトナムなどはこの夏大洪水があったし、アフリカでは大干ばつ、そしてヨーロッパでも旧東ドイツを中心に大洪水被害を経験している。このように地球温暖化の脅威は、あたかも時限爆弾が破裂していくように、地球の各地ではさまざまな形をとって人間社会に襲い来る脅威となり得る。

3.元気がでる緑化事業

 そのようななかにあって、京都議定書は地球温暖化の脅威に対処する。最初の取り組みである。特に日本について言えば、森林による炭酸ガスの吸収に過大ともいえる期待がかけられている。さらに言えば、化石燃料に代わる燃料としてバイオマスエネルギーも大きく期待されており、長いこと放置されていた山林の管理や間伐材の積極的な有効利用にようやく光が当ろうとしている。緑化工といえば、当工業会はその最前線で事業をおこなっている業界NPOである。これまで長いこと、当工業会は法面保護できたが、地球温暖化時代にあっては法面の保護だけでなく、炭酸ガスを吸収しうる森林管理や間伐材などの新たな活用などが国や地方公共団体の政策課題になりつつある。今まではあまり金もまわらなかった分野に、京都議定書のお陰で、不死鳥のようにこの事業が蘇ると考えるべきである。
 緑化といえば山のなかというふうに限定する必要はない。都市のなかでも新たな緑化事業は沢山ある。例えば、都市のヒートアイランド現象に対処するため、東京都では新築ないし改築する場合、屋上緑化が最近、条例によって義務付けられた。東京のこの新方針をフォローする自治体はこれから沢山でてこよう。国も屋上緑化について検討を開始している。「風が吹けば桶屋が儲かる」と言われることがあるが、私に言わせれば、「京都議定書が発効すれば緑化工に携わる人が元気になる」。時代の風がやっと吹き出した。大いに頑張ってやろうではないか。

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開発行為と人間性・考
NPO法人日本環境土木工業会 技術評価委員 森 厚志
 数年前、真剣に「薬剤師」になろうと考えた事がある。大病を患い、薬の副作用に苦労していた頃だ。日頃から法面という危険な場所で仕事をして「死」というものを考えもしなかったのに、いざ病に伏すと「生」について思い煩うらしい。おかげで、いまでは医師が驚く程「薬」に詳しくなった。と同時に、この国の「薬害」に関しての知識も豊富になった。キノホルム、サリドマイド、ソリブジン等々。CJDや薬害エイズ事件が紙面を賑わしたのはつい最近の事だ。なぜこうした事態が繰り返されるのか、本来ならば最も専門化した分野であるはずの「医学-薬学」界にあって、しかも当事者達は高度な学識を有しているはずなのに、被害は一向に無くなる気配を見せない。
 私は、原因は「制度」と「人間性」にあるのだと思う。かつてJ・トーランドは、「大日本帝国の興亡」の中で「歴史は繰り返さない、人間性が繰り返すのである。(中略)そして、我々は過去から現実に対する教訓を得ることよりも、現実から過去について学ぶことが多い・・・」と述べた。一握りの不届者が、ほんの少し手前勝手に振る舞うことによって、事態は思わぬ方向に展開する。その時、事態を是認した制度は、運用面での誤りを補訂することよりも制度自身の保護に力を傾注する。こうした一連の流れをどこかで断ち切らぬ限りこれからも被害は発生し続けるのだろう。
 時に平成大不況、デフレスパイラルという耳慣れぬ言葉が飛び交い、我が建設業界も生き残りに必死である。公共事業費が首相の構造改革路線のやり玉に上がる中、「環境保全」と「リサイクル」を合言葉に新技術の開発に各社しのぎを削っている。特に法面業界にその傾向が強いように思われる。国交省の新技術情報システム(NETIS)を見てもリサイクル緑化工法が目につく。地球温暖化が声高に叫ばれ、京都議定書にもあるように資源を再利用する技術の開発は急務であろう。しかし、それが唯一の解答であるとも思われない。この場合も問題は「人間性」と「制度の運用」にあると言える。無害化した汚泥や建設廃材を緑化基盤材に混ぜて法面に吹付る。その事自体に問題点はないだろう。しかし、現実には「無害化」をどうやって、どの段階で、誰がチェックするかに掛かっている。最悪の場合、集中していた汚染物質を拡散する危険性を孕んでいる。新たな技術を開発し実施される過程は技術者にとって名利以外のなにものでもない。しかし、事業として成立させるには金銭が伴う事を銘記しなければならない。そこにこそ「人間性」に潜む弱さが露呈する下地が隠されている。もともと緑化技術は1年や2年で判断すべきものではない。
 明治神宮の林は自然な物ではなく、計画されたものである。つまり、80数年前からの形になるように作られたものなのだ。一時、法面を急速に樹林化し二酸化炭素のストックヤードにしようとする動きがあった。試験室といった隔離された環境ではうまくいった技術も現実には機能不全に陥る事が多い。高邁な理想を掲げて開発された工法も、現在のような「単年度会計制」のもとでは未消化のまま放置されかねないのである。
 この度、NPO法人日本環境土木工業会の技術評価委員に選任され、新技術の客観的な評価をすることになって思うのは、時間という最強の腐食剤に耐えうる技術をどうやって見極めるかという一点につきると考えます。ヘーゲルは「精神現象学・序論」の中で「ミネルヴァの梟は夜更けて飛び立つ」という警句を発しました。一般にこれは、哲学は全ての学問の上位に佇つと解されますが、転じて「理想は、現実の後に来る」と訳されています。「地球が危ないのではなく、人類が危険なのだ」という認識にたって、「制度と人間性」に悪用されない技術の評価を心掛けて行きたいと考えています。

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